杜の響き  


 「杜の響き」
メッセージ 第77章
  ワクチン接種

   第二次大戦直後の小学生時代は極めて衛生状態が悪く、誰しも蚤、しらみに悩まされていま
   した。折しも米軍によるDDT散布があり白粉を被った頭髪で戯れたことが記憶にありますが
   効果てき面でその威力に驚愕したことが忘れられません。

    併せてその頃の授業でジェンナーが牛の搾乳人の現象からヒントを得て、我が子を試験対
   象に種痘したことを教わり、抗体による免疫の不思議な現象と無慈悲な治療法にもただ単純
   に結果良好と捉えて来ました。この度の新型コロナ対応の接種は報道でも遺伝子のメカニズ
   ム付きの解説もあって、一般社会ではワクチンが鶴首される状況にあります。

    過去医学会の歴史において免疫力に着目した科学者は多数存在したと推察されますが、天
   然痘の事例は感染力、死亡率などで紀元前より恐怖の病として人々が治療法に苦慮してきた
   経緯から当時は劇的療法の出現することでよう。1800年頃種痘による感染予防の論文が
   発表されると病魔の恐怖もあって瞬く間に全世界に広まり50年程で発症が激減しました。
   その後、全世界に普及されるまでに更に年月を要しましたが、1980代に至り全世界の大
   半の人の接種を終え、遂に1980年WHOは同病種の根絶を宣言しました。

    人類は死への恐怖から各種の医療技術の開発に邁進する中で、各種臓器の補完、障害に対
   する物理的対処策を講じて来ました。
    近年は老化及び感染症に伴う疾患に対しても、単純な外的要因に限定せず生理学や遺伝子
   学など広汎な知見を応用したシーケンシャルな調査研究がなされており、この度の新型コロ
   ナ禍では、医学と乖離した統計学の分野に重点が移行した様相も呈しています。
   生命に富んだ地球に棲息する智慧ある人類はコロナ禍でも多くを学ぶことでしょう。

    人類の歴史より遙か数千倍の悠久の歴史を経て無数の変異株を培養しながら生存し続ける
   ウイルスを撲滅する術は一朝一夕では確立出来ず都度の対処療法に頼ることとなります。

    現行の対処療法に基づけば、グローバルな免疫調査が想定され、民族間の障壁を超越した
   地球環境の共有化が強まるかも知れません。結果として医療も人類共有技術として全人類に
   等しく提供される体制が確立されるでしょう。医療技術や財政に乏しい国やインフラ整備の
   遅れた僻地を居住地とする人々にもきめ細やかな支援が求められます。

    医療を契機にイデオロギーに拘泥することのない新たな社会的規範が普及すれば、国家間
   の係争も無く武器も不要となり、自然環境を尊重した地域ごとの特色ある共生を礎にすれば
   、芸能美術などで五感を満たす優雅な人生観の世界が開けるかも知れません。
免疫と言う天
   賦の能力は生物の生存に付随したもので、多種多様の生物が共存する中で神様より賜った遺
   伝子の能力と理解しています。


    令和3年3月1日

   「 杜の響き 第77章 」
澁川神社 責任役員 森下千晴 記

                

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