「杜の響き」メッセージ 第75章
謹賀新年
コロナ禍の影響で行動自粛が叫ばれる社会ですが、新年を迎えるに当たり氏子の皆
様共々寿ぎ、地域が希望を懐く明るい生活環境でありたく存じます。歴史的にも過去
幾度となく地球規模の感染症を経験しており、多くの犠牲者を生じながらも対抗治癒
を確立してきました。人々が単なる医学に限らず広汎な叡智を発揮された結果とも言
えます。
例年掲げる神社の合言葉にこの一年、大嘗祭に肖り縁の斎田から「悠」と定め未来
に向かって豊かな社会が限りなく拡がることを念じて参りました。顧みれば自粛勧奨
とともにオリンピックの延期など国民挙っての祭典がなく拍子抜けの感がありました
。
反面各人の感覚には朗報も多くあったと思われますが、全国的に共通の明るい話題
の筆頭に宇宙探査機「はやぶさⅡ」があります。沈滞ムードを払拭する価値ある歴史
的快挙となりました。
6年前地球を離れた探査機は小惑星「りゅうぐう」で小石のサンプルを得て無事帰
還しました。太陽系誕生の46億年前からの小惑星であり太陽熱による輻射熱など外
乱も少なく物質組成の変化も少なく、初期の組成を維持していると推定されています
。アミノ酸など有機物の痕跡が在れば生命発生の謎解きにも繋がります。今後の解析
が注目されます。
はやぶさⅡは更なる目的で新たな旅立ちの報道があり驚愕させられました。訪問先
は直径僅か約30mの小惑星1998KY26と伝えられます。11年後にはタッチ
ダウンが話題になることでしょう。
現代科学技術の粋を結集して挑戦した宇宙探査で、門外漢の人には功績の内容をつ
ぶさに理解することは不可能です。しかし、はやぶさⅡ発射時のコントロールセンタ
ーの壁面に神社大麻が祀ってあったのが印象的で所長の談話の中に「人事を尽くし天
命を待つ」とあり、僭越ながら一筋の糸を感じていました。この度も帰還作業に先立
ち多忙にも拘わらず、幹部の方々お揃いの氏神神社詣の様子が報道され神頼みの普遍
性を再認識した次第です。
人類が挑む高次元の世界の深淵な拡がりを覚え、本年の合言葉は「宙」とします。
果てしなき科学の発展と人々の重厚な精神の伝播が手堅く進捗することを祈念して弊
社の護持継承に勤めます。
氏子各位が神恩を心の拠り所として活用されることを関係者一同念じて止みません。
令和3年元旦
「 杜の響き 第75章 」
澁川神社 責任役員 森下千晴 記
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