杜の響き  

     
              「杜の響き」
メッセージ 第67章
    
                                             
            
天神地祇への禱り

                     令和2年 5月 1日
                   
      

      今春全世界を驚愕させたコロナウイルス感染は、一部地域を除き終息する事
     無くグローバル化しています。

      この感染症に関する陰陽検診による疫学的見地からの計数的把握が連日公表
     され、統計数値の傾向管理に翻弄されています。病原体のコロナウイルスへの
     医学的対峙法は難解と報道される一方、関心事は諸施策に伴い派生する経済社
     会の混乱です。

      感染阻止に科学と社会が結束して如何に戦うかが課題となっていますが、消
     費文明がグローバル化した地球環境で、マスクと言う古典的な防護具に一喜一
     憂する社会に寧ろ驚きを感じさせられます。連帯感が薄弱となり物質経済に傾
     注した現代社会の現れかも知れません。

      地球規模で派生したコロナウイルスは全人類を巻き込んだゲリラ戦争とも言
     えます。対抗する各国の医療機関の武器はこの全面戦争を制圧するに十分とは
     言えず、防御と撲滅の研究開発に昼夜を問わず不断の努力が費やされており、
     関係者には敬意を感じながら地道で手堅い取り組みに期待しています。

      世界各地での対応は、法律、慣習、歴史、宗教、国民感情等数多の環境によ
     り異なっていますが、ロードマップはウイルスに抗体と言う自衛武器で対抗す
     る状況にあり、全世界の人々が連携し共助の精神を失うことなく推進してほし
     く思います。

      論語述而第七に「誄曰、禱爾于上下神祗。子曰、丘之禱久矣」とあり、孔子
     は病魔見舞いに訪れた弟子に、平素より「天神地祇」への禱りを捧げている旨
     を述べています。常態化した祈願に効能を評価すること無く、精神面の支援効
     果に神恩を感ずると理解しています。

      世界の絆を醸成するに当たり技術開発と資本投資で豊かさを追求した時代を
     反証して、スペイン風邪、エボラ、サーズ、東日本震災等を回顧すると、地球
     環境は想定外の災禍の道程にある事を認識する世代とも思われます。

      この度の対処策は、医科学の処方に委ねることとなりますが、感染症である
     事を強く認識して、地域社会に発せられる行政の諸施策に団結して協力したく
     思います。終息の暁には、社会的規範に変化が生ずるかも知れません。

      そこには県境、国境、民族、宗教を超越した従前の絆と異なる別次元の連帯
     感が構築されます。

      なお、弊社では三月來の例祭は三密回避のため催事を簡素化したうえ、コロ
     ナウイルス感染予防治癒の祈願を加えた祝詞を奏上しています。



                   令和2年 5月 1日 

                    「 杜の響き 第67章 」
                澁川神社 責任役員 森下千晴 記

                        


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