杜の響き  

     
                  「杜の響き」
メッセージ 第63章
 

               
                 
    令和二年 睦月 一日
     
      初春令月、気淑風和の侯、改元後初めての新年を迎え氏子皆さまと共に寿ぎ
     たく存じます。平素は多数の方々の参詣を賜り、関係者一同感謝としつつ氏神
     様の存在意義と使命を認識しながら護持に勤めています。         
      昨年も、8月の九州地方での秋雨前線に伴う豪雨、10月の関東、東北地方
     を襲った台風19号による風水害、沖縄県の首里城火災等々相変わらず災害の
     発生があり、今なお復旧に携わる多数の方々に敬意を申し上げたく存じます。
      他方、朗報も多くあり糧として皆さまと共に明るい社会を目指す年にしたく
     思います。
      天皇即位に伴う御代替わりは、時代の変遷と個人の人生を回顧する機会でも
     ありました。吉野彰氏のノーベル賞受賞根拠となったイオン電池は地球環境の
     変革に無限の可能性を生み、COP25の課題への対応も期待されます。日本が
     常連となったイグ・ノ-ベル賞も子供の唾液調査で授与され、日本人のユーモ
     アある探求心が感じられました。
      本欄53章「神からの試練」でも紹介させて頂いた「神様は、乗り越えられ
     ない試練は与えない。」の言葉を後に治療入院された池江里佳子選手がこの程
     退院した旨の報道があり、同時に2024年オリンピックへの挑戦を宣言され
     ました。陰ながら姿勢に声援を送りたく思います。          
      例年掲げる神社の合言葉、本年は東京オリンピック開催による全国展開の聖
     火リレ-など、明るい話題の伝播を願って「悠」としました。緑の悠紀斎田か
     らの引用ですが、未来に向かって限りない拡がりを込めた言葉です。オリンピ
      ックは終着点でなく将来に向かった意義ある行事として豊かな社会構築への
     出発点である様願っています。
      今一つの関心事は2014年12月に打ち上げられた「はやぶさ2」です。
     同探査機は昨年11月13日小惑星リュウグウを立ち地球への帰還を始めまし
     た。今年末に地球到達が予定されています。リュウグウは太陽系惑星の地球と
     火星の間を回る亘長約900mの小さい惑星です。地球感覚からは一滴の星で
     すが、イオン電池を動力源に一年余の時間を費やす長旅に血の滾る思いです。
      探査目的の一つに有機物や含水鉱物の生成研究があり、宇宙に於ける生命科
     学への結び付きが期待されます。果てしない悠への挑戦です。     
      水に深い関心を抱かれている今上天皇へは最大の贈り物と存じます。
      氏子の皆様に夢の膨らむ年になる事を神社関係者一同と共にご祈念申し上げ
     ます。                       


                      令和二年 睦月 一日 

                       「 杜の響き 第63章 」
                   澁川神社 責任役員 森下千晴 記

                        


                   杜の響きへ続く   神社INDEX