杜の響き  

     
                  「杜の響き」
メッセージ 第61章
     

               


       
10月22日御代替わりのメインイベントである即位正殿の儀が厳かに執行
      され、天皇陛下は国民および諸外国に向け誓詞を宣明されました。簡潔な御詞
      の中に、上皇天皇の下で培われた象徴天皇の在り方が推察され、世界平和を願
      う日本の姿勢が伺われ国際社会での尊厳が一層高まることと思われます。式典
      後は雨上がりの空に七色の虹が架かり明るい前途を祝福している様でした。
       近年度重なる自然災害が発生、直前の台風19号では大規模な水害もあり、
      被災地の復興作業に携わる人々に気遣う天皇のご意向を酌んで予定された祝賀
      パレードは延期と相成りました。

       古より水を制する者は天下を制すと言われ、人類は生命の源である水につい
      て災害を伴いながらも、持続的な利水に智慧と労力を費やしてきました。
       天皇は特に水に関して造詣深いお人柄と伝えられており、国民の皆さんもこ
      の賢明な対応策を理解されたと思います。
       昨年の世界水フォーラムで自ら「繁栄・平和・幸福のための水」と題した基
      調講演をされています。                                                              
       世界各地で発生する豪雨被害にお見舞いの言葉を皮切りに利水による農作物
      への恩恵、地球環境の二酸化炭素循環の主役である植物の役割等人類の生活と
      発展の基本要素である水を強調されました。
       農耕民族である日本で今も重宝する愛知県の「明治用水」また山梨県の水源
      を共有する「三分一湧水」の精神が紹介され、人々の平和と繁栄と共に幸福を
      分かち合う礎と述べられました。
       後半では地球規模での気候変動を懸念した講話となり、サワラ砂漠とアマゾ
      ンの熱帯雨林、海流による熱移動、二酸化炭素と降雨強度など広汎な事例によ
      り最近頻発する水災害は極地的な問題でなく、地球の気象変動が遠因であると
      述べられています。政治行政に携わる事もなく主義主張を論ずる場の少ない天
      皇の内面的な見識の一端が披歴されています。今回の即位礼は、畏き象徴天皇
      を世界に誇るべき伝統制度と認識しています。  
                                       
       神社では、例大祭に合わせ奉祝秋祭りを開催しましたが、例年以上の氏子の
      方々の参集があり、また即位礼に合わせた奉祝、ご朱印にも多数対応して慶賀
      の雰囲気に包まれました。天武天皇悠紀斎田ゆかりの神社として今年の新嘗祭
      は大嘗祭に準じた祝詞奉上を志しています。

       世界の200近い国の代表が、国際会議体とは異なる御代替わりと言う稀有
      な日本の伝統行事を通じて一堂に会する機会となりました。視野に無い無数の
      糸により互いの絆醸成に寄与したことと信じます。
       慶賀と共に世界平和を祈念する次第です。              
                                       
                


 
                      令和元年 11月 1日 

                      「 杜の響き 第61章 」
                   澁川神社 責任役員 森下千晴 記

                        



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