杜の響き  

     
               「杜の響き」
メッセージ 第60章

                  

        去る9月24日国連気候行動サミットで述べた北欧スウエーデンの16才少女
       グレタ・トウンベリさんの進まぬ地球温暖化防止対策への警鐘批判は強烈であった。
        世界の指導者を前に現在討議している諸施策の不備を突き「あなた達の話は金
       と永遠の経済成長というおとぎ話だけ」加えて「私は本来学校に行ってるべきだ」
       とも述べています。自ら興した気候の為の学校ストライキの意義を強調しました。

       彼女の興した行動に世界の眼は節穴ではなく、僅か一年で何百万もの人々の心を
      揺さぶり、国連での演説にまで至りました。
       確かに経済発展に伴うエネルギー消費の増大と地球環境の悪化は相関してきまし
      た。人類の文明は、人生の幅を広め寿命を延ばす恵みを相対感覚の中で享受し続け
      生活常識を培うこととなりました。
       日々の生活で地球温暖化の把握は難しい課題ですが、地球全体の統計的な環境調
      査データと大気構造の解析から科学的に証明されたことで、今日では世界人類の共
      通認識として対応すべき重要事象です。
       人類史上画期的な産業革命は、衣食住で豊かな生活を求めることとなり、結果と
      して大量の熱エネルギー消費に繋がり、炭酸ガスを始め温室効果ガスを放出させ地
      球温暖化の気象現象を生じました。

       太古より棲息する動植物は、光合成など自然科学の循環で生成する環境の中で適
      応しつつ生命を維持継承してきました。
       中でも智慧ある人類は、火気の取り扱いに先陣を切り、世界各地で集団社会を形
      成し文明を開拓し発展させることとなりました。最たる処は四大文明ですが、流通
      機構の乏しいなか領域外でも多くの人間社会が派生しています。
       彼らの生活環境の中で共通課題は人智の及ばぬ生命と自然現象に他なりません。
       精神の拠り所を求め必然的に精霊崇拝と自然崇拝の慣習が生まれたことでしょう。
      島国日本でも仏教伝来など大陸文化の伝播以前より、古神道として四季の移ろい、
      火山噴火台風など天変地異を対象に祈願精神が存在しました。

       精霊と冥界の存在を信じる傍らで霊峰、巨岩、滝、河川、太陽、月など、様々に
      崇拝する風習が根付き、やがて常世と現世の思想が生まれ共同の参拝場所を設け、
      更には端境に鎮守の森を配して神域を形成しました。
       グレタさんには、東アジアにある日出国日本で悠久の昔から自然崇拝の精神を原
      点とした信仰があり、現在も全国に八万余の八百万の神に纏わる祭祀施設が護持さ
      れ、自然界に対する畏怖畏敬の念を懐く多くの国民がいることを知って頂きたい。
  
                 
 
                      令和元年 10月 1日 

                      「 杜の響き 第60章 」
                   澁川神社 責任役員 森下千晴 記

                        



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