杜の響き 
「杜の響き」メッセージ 第5章




                伊勢神宮奉祝神楽に学ぶ      


     伊勢神宮では、第62回式年遷宮の重儀「遷御の儀」が、全国民注視の中、10月2日内宮
    10月5日外宮で目出度く斎行されました。

     この度、この遷宮の奉祝祭の一環として同神宮神楽殿で奉納される「奉祝神楽」のご案内を
    戴き、参列いたしました。

     式典は、神官・楽師・巫女により淀みなく滑らかに進行し、静寂の中参列者一同幽玄の世界
    に導かれた様に感じられました。

     典儀で祝詞奏上の次に奉奠された神楽舞を以下に紹介します。

  (1)楽器の編成
     笙、篳篥、龍笛、笏拍子、鼓

  (2)倭舞(やまとまい)
     巫女4人が、頭に冠を付け、白の千早(ちはや)に緋色の長袴の衣装で、右手に五色布を付
     けた榊を持ち、雅楽に合わせて舞う姿は、単調ながら情緒ある優雅な舞です。
     雅楽は、日本古来の民俗歌を基調とした国風歌舞(くにぶりうたまい)に属し、通常大和歌
     が選ばれます。
     神宮では「みやびとの させる榊をわれさして よろづ代まで かなであそばむ」の詞が
     紹介されています。

  (3)人長舞(にんじょうまい)
     神楽人の頭として、男性1人が武官の装束で、鏡を模した輪の付いた榊を右手に舞う姿は勇
     壮ながら雅な舞です。神宮で紹介されている歌詞は「其駒ぞや 我に我に 草乞う草は取り
     飼はん 水は取り 草は取り 飼はん」とあります。

  (4)斎庭舞(ゆにわまい)
     第六十二回式年遷宮に際し新たに制作された神楽で、鷹司和子様の御歌「みそのふは 秋
     の夜ふけて みかぐらの 笛の音たかく ひびきわたりぬ」に、作曲、作舞をそれぞれ宮内
     庁式部の楽長が、担当された由。   
     巫女4人が頭の天冠に日陰糸を垂らし、花菱紋様をあしらった千早に、蜜柑朱色の袴を着用
     し、手に榊を持って舞う姿は、浄闇の中、神前で奏でる御神楽の雰囲気を偲ぶ清楚で優雅な
     舞です。  

         
            澁川神社 浦安の舞(秋祭り:祭文殿にて 2013-10-13)
            

                              平成25年12月25日掲載
                              「杜の響き」 主幹 千雅翁




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