杜の響き  
      
             「杜の響き」
メッセージ 第46章
         
 
               克己復礼  
              隆盛のボランティア活動を座視  

     今夏は世界各地に異常気象が襲い多くの災害情報が伝えられました。
    今なお続く救助・復旧活動に従事される方々に、己の肉体的・精神的未熟さを秘めて
    敬意を表する次第です。
    然し乍ら、朗報もあり座視する側でも人々を感動させています。中でも二件のドラマ
    チックな報道がありました。

     一つはタイ国洞窟でのサッカーチームの遭難です。12人の少年チームが監督と共
    に仲間の誕生日祝いを企画、幻想的な鍾乳洞を会場に選定して食料など祝会の品々を
    持参して洞窟内に入りました。既知の場所ではあったが、雨期に入り想定外の湧水に
    襲われ帰路を絶たれてしまったのです。 各国の特殊部隊による懸命な捜索で、入口
    より5kmで生存が確認されたものの救出には数時間をかけた空気ボンベに頼った水
    中脱出が必要と判断されました。直ちにイギリス人を中心に国境を越えた洞窟探検隊
    が結成され、計画された綿密な救出作戦が功を奏して、6月23日に遭遇した事故も
    月10日救助隊員1名の犠牲を伴ったものの少年ら13名全員無事に救出され世界中
    の喝采を浴びました。

     今一つは二歳児の行方不明事故です。山口県瀬戸内の島にある曾祖父の家にお盆休
    みで母親らと共に帰省中、幼児は一瞬の単独行動で迷子となった様です。報道を得た
    全国民が憂慮する中、懸命な捜索が続き三日目の早朝発見、森林の中から無事救助さ
    れました。立役者は、民間の78歳男性ボランティアでした。その後報道される彼の
    日常生活は略毎日ボランティア活動で埋められており、論語で仁を説く「克己復礼」
    を旨とした私欲・私情を抑えた人生観が垣間見えてきます。象徴された後期高齢者の
    生き様を称賛したく存じます。

     元来、社会奉仕活動の範疇は無限であり、各人の主観的判断で行われた結果の中に
    仁愛を込めた行動が生じます。この度の二件の報道は、各地で活躍されるボランティ
    アの皆さんの士気高揚に多いに寄与することでしょう。  

     神社では、地域の氏子の方々の心の拠り所として永劫護持継承されますよう氏子総
    代を始め関係者一同微細ですが、心を込めて奉仕活動に努めて参ります。


                平成30年 8月 21日 記
                  「杜の響き」 千雅翁 
                 
            杜の響きへ続く    神社INDEX