杜の響き  
      
         「杜の響き」
メッセージ 第41章
            
     
      心に宿る祭り

     今年は、気圧配置の変動が激しくて地球環境を危惧する報道もありましたが、着
    実な春の訪れとともに春分に合わせて祈年祭を迎えることが出来ました。別掲での
    記述の通り、近年では珍しく降雨となり社殿の構造もあって関係者による養生にも
    限界があり、詣者には、ご迷惑をお掛けすることと相成りました。
     献じた種籾には、早期の慈雨と理解しています。荒天にも拘わらず多くの方の参
   詣を賜り祭事の意義を再確認した次第です。
     中でも当サイトが縁で、60~70Kmの遠隔地より、小生の旧知の職場仲間が、
   10名程参列に加わり光栄に存じました。 祭事後は馴染みのない関係者との直会に
   同席頂き、また、長野、三重、九州等夫々の郷里に伝わるまつりを回顧した談笑も垣
   間見られ当神社の運営趣旨に合致した一幕でした。

    地球上に集う多様な民族では、科学的立証のない侭人類の心の拠り所として各種の
   まつりがあり、視野に入る肉体とは異なり精神の基盤に位置づけています。心の癒し
   が人々を融和させます。
    まつりの起源は知る由もないが、農耕・牧畜民族の区別なく生活集団の営みの中か
   ら、動物的本能として糧を確保する手段に自生した祭祀に始まると理解しています。
   後に文字など、文明の発展と共に各種の宗教が派生し、その勢力争いが拡大して社会
   に多大な影響を及ぼすことにもなりました。
    時を経るに従い文化、政治経済の変遷もありますが、琴線に触れるまつりの本質は
   時々により、軽重があっても存在価値を失うことはありません。証として全世界では
   多様なまつりを介して人々が集い胸襟を開いた交流の場を得て、異国間の絆醸成に寄
   与しています。

    何方も既に数年前に古希を体験した旧知の仲間が集い、郷土のまつりを媒体に懐旧
   の情に花をさかせた一時を観て、地域の庇護を受け継承される神社の祭事は経済活動
   とは関係なく体験した人々の心に宿るものと確信しました。自然の恵みに感謝する神
   道では各地に拠点として神社があり、様々なまつりが催されますが、末永く存続隆盛
   することを念じています。

              平成30年 3月 25日
               「杜の響き」 千雅翁


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