杜の響き  
      
         「杜の響き」
メッセージ 第40章
            
     
    百花繚乱の祭典

   私的事柄で恐縮ですが、昨年末疲労が顕著になり検診した結果、急遽入院治療と
    相成りました。
     両親が循環器系の病で他界、二人の弟も癌を患い10数年前に失い、自らは30
    年近い循環器系の投薬に加え、二度に亘る癌の切除手術を経験する等、宿命的な病
    魔のDNAを備えた身体と自覚し乍ら現在に至っています。
             
     第23回冬季オリンピック平昌大会で、メダリストとなった日本選手全員による
    共同記者会見が報道されました。共通して感じられたのは、チームの和と支援への
    謝意です。練習環境、資金、時間と共に精神的支えを無言のまま甘受して練習一念
    に邁進した経緯を回顧した発言と思われます。

     ギリシャで発祥した古代オリンピックでは、絶え間なく続く戦争を一定期間止め
    開催したと言われます。開催場所も神殿と名付けられ、スポーツを通じて実施する
    平和の祭典として位置付けられており、近代オリンピックでもその趣旨は五大陸の
    結合と連帯を表した五輪マークと共に継承されました。 然し乍ら規模拡大に伴う
    経済性、商業主義、政治思想等の変革と共にスポーツ科学の進展も加わり原点を逸
    脱した運営も危惧されています。  

     各種行事には様々な観点から意見が提示されるのが常道ですが、今大会での日本
    選手団の言動には心温まる場面が多く感じられました。各競技での成果に驕ること
    無く、寧ろ競い合った相手への評価と敬意が滲み出た選手団の態度は殊に印象的で
    した。若年で編成された選手団にも拘わらずスポーツ競技を通じた祭典の意義が浸
    透していた結果と思われます。

     祭典は世界各地に拠点を置く人々の新たな仲間をつくりの場です。神社で催す祭
    りに際しても地域社会で互いに相手の人格を尊重して人間性を理解し合い仁に満ち
    た環境作りに寄与することを基本理念としています。  

     交流お少ない異民族で共通目標を競うスポーツは、相互の仁愛精神を醸成する手
    段としては格好の場であり、今回参加した日本選手団の皆さんの姿勢を模範とすべ
    く賞揚したく思います。

     小平主将が目標とした百花繚乱は、選手を種として、日本全国の人心に花を咲か
    せました。神社運営に当たっても、祭礼毎に氏子の皆様の心に花が咲くことを祈念
    して参ります。


                平成30年 3月 1日
                「杜の響き」 千雅翁



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