杜の響き  
        「杜の響き」メッセージ 第36章



                  飼い犬に思う

      最近、里親探しの柴犬と偶然出逢い、家族ぐるみの歓迎のもとペットと
     して、仲間入りすることとなりました。 三年前に飼い犬の死を体験した
     我が家では、長らく犬小屋は静寂な空間でしたが、新しく迎い入れる犬は
     セラピーとして訓練されており、新居の設置と相成りました。

      飼い主の高齢化で接し方が異なり、犬本来の動物的な運動に制限が生ず
     るのは必須ですが、セラピーの手解きを体得しているお蔭もあり、自然体
     で優しく対応してくれます。 そこには目を合わせると、語り掛ける様で
     また、傍に佇めば、そっと体を触れるなど、動物的慈愛に満ちた行動があ
     ります。

      人間であれ犬であれ気持ちよさそうな仕種は心を和ませます。論語で孤
     独の人を対象とした教えに「敬して失うこと無く、人と恭しくして礼あら
     ば、四海の内、皆兄弟なり」と諭していますが、共通語を有しない動物と
     対峙して、孤独感で発する一方通行の言葉にも仕種で双方に癒しが生まれ
     無意識のうちに絆が醸成されます。あらゆる環境の中で、無言の反応とし
     て結実した絆には、心底に響くものがあります。犬との応答に腐心し乍ら
     恭敬のこころの重み、意義を認識する次第です。

      神社での祈願は、一方通行ながら宇宙的観点から大自然への謝恩に根差
     していて現実を肯定した上で、更なる精神的支えになるものと理解します。
      初宮、七五三等で参詣される氏子の皆様には、今後とも神社を拠り処に
     心豊かに社会の輪を拡げて頂きたく存じます。



               平成29年11月18日
                「杜の響き」 千雅翁 



 
          杜の響きへ続く           神社INDEX