澁川神社   神社INDEX    
   


 

               
支援する楽士の人々

      平成19年、再建中の社殿に係る竣功祭に関し、衰退傾向の雅楽復活が課題となり、急遽伶人会と
     して編成することになりました。  
      公募結果、ビギナーばかりですが幸い15名が集まり、笙・篳篥・竜笛の3パーツに分かれ3名の
     講師の指導を得て「越殿楽」「五常楽急」「浦安」の特訓と相成りました。楽士の年齢は40~70
     代と高く、残念ながら10代の若者に比べ適応能力は劣りましたが、熱意と継続により一年後の平成
     20年秋の竣功祭には、稚児行列の先陣と神事等で立派に奏でることが出来ました。

      西洋音楽では、天才音楽家バッハにより計数的な楽典が確立され、又楽器も改良を重ね、特に木管
     楽器では、キイにより♯・♭を容易に奏することが可能となり多様な演奏がなされています。
      五線譜に馴染んだ人にとって雅楽は、楽器も原始的でリズム・音程・息継とも相対感覚で奏する為
     当初はビギナー楽士も随分悩まれたことと想います。

      然しながら、吹口で微妙に変化する音程、竜笛のオブリガート、篳篥のポルタメント等に太鼓、笏
     拍子、鉦鼓、鞨鼓を合わせたハーモニーは西洋音楽と異なる侘・寂の情感を漂わせ、魅せられた音楽
     としてレパートリーの幅も広がりつつあります。
      家庭事情で退会された人もありますが、今なお初期より12名が継続して活躍されており、謝意と
     ともに幣神社の伶人会として末永い継承を念じています。

                          平成26年10月1日 伶人会々長 森下 千晴



 
         

  
    雅楽に魅せられて


          平成26年10月3日
          伶人会 楽士 三浦 雅子  
            澁川稲荷祭にて雅楽を奏でる楽士たち

        「ピーッ」と鋭く甲高い笛の音が、脳を突き抜けるように一直線に伸びていく、太陽や月が生活
    すべての判断であった時代に、このような笛の音は、未知なる天へのアクションだったのではない
    だろうか? と想像が掻き立てられます。
     現代のような雑多な音(電子音、車音、電気生活音等)が無く、自然界に生きるものだけの気配
    夜の闇の静寂の中では、笛に限らず楽器の音が、どれ程人の体内に染み渡ったことでしょう。
     奈良・平安時代の響が変わらず今在るのは、大変希有な日本の歴史と日本人気質の奥深さの恩恵
    と思います。 遣唐使という国家事業を経て大陸から伝えられた音楽と日本古来の音楽は、貴族を
    中心に宮廷音楽として形造られ今日の雅楽の礎となったと思れます。当時音色を耳にできる階級や
    奏者の範囲は限られ貴重な存在であり、今こうして縁を頂き楽器を奏でる機会を得て、非常に感慨
    深いものがあります。
     演奏機会に恵まれたとはいえ、楽器は夫々大変高価であり、音も容易に鳴ってくれません。独楽
    できるものでもなく、周囲の協力を得て重なる訓練のもと、ようやく一つの楽器に単音らしさが宿
    り始めて、そこから聞きなれないメロデイ になるまでの道のりは長く、更に艶やかな音色には程遠
    く、芸事の無限性を感じます。
     渋川神社祭礼で奏でる響には、以上のように千数百年の気が遠くなるような歴史と、時々の人へ
    の伝承を経て、加えて神社を取り巻く人達の熱意と時間・財以ってして維持されています。
     また、日々裏方で尽力される氏子総代方による奉仕活動内容は多岐細部に亘り、手を尽し管理さ
    れた境内は聖地となり、清浄な拝殿では、宮司により参拝者を御神に近づけて頂きます。そこには
    参拝者の感謝・期待及び未来に向けた決意など、静かな喜びと凛とした空気に満ちており、その場
    に同席できる私共も幸せを感じています。
     一方、研修などで導いて下さる講師の方々や、格式あるお社で耳にする熟練者の息の長い深みあ
    る音色は、同じ楽器同じ体の構造とはとても思えず、年齢を増して輝くその技術に魅了されます。
    今後も、各所で学ぶ音色をイメージしながら、今後も作法を伴った心技一体の奏者を目指し、式内
    社の貴きこの地で、澁川伶人会として息の合った楽を奏でながら遥かな道を歩み続けます。


                                                                           結び





                                     
                  雅楽に使われる楽器について
        
    ◇ 使用楽器は大きく分けて三つに分類されます。

    1.吹きもの(吹奏楽器)・・・笙〔しょう〕、篳篥〔ひちりき〕・龍笛〔りゅうてき〕
                   

    2.打ちもの(打楽器) ・・・太鼓、鉦鼓〔しょうこ〕、鞨鼓〔かっこ〕
                   三ノ鼓〔さんのつづみ〕、笏拍子〔しゃくびょうし〕

    3.弾きもの(弦楽器) ・・・琵琶〔びわ〕、箏〔こと〕
 


   
 
 


                     
 澁川神社で使われる楽器について

       
画像で紹介の6種類の和楽器の他、笏拍子〔しゃくびょうし〕も使用され、全部で7種類の和楽器で
      演奏されています。



  
     

   龍笛(りゅうてき)

 雅楽用の竹製の横笛。
 長さ約40cm、内径約1.3cm、
 指孔個で、大きさ・音色とも神楽
 笛と高麗笛(こまぶえ)の中間。



  
      

   篳篥(ひちりき)  縦笛

 奈良時代初期中国から伝来した横
 笛の一種。約18cm、の竹管の表
 に7孔、裏に2孔をあけ、上端に
 葦(あし製)の舌(リード)を挿
 入したもの。音は強く、哀調の在
 る音色。
  
     

   笙(しょう)  縦笛

 匏(ほう)の上に17本の長短の
 竹管を環状に立てたもので、竹管
 の根元に簧(した)、下方側面に
 指孔がある。簧(した)の側面の
 吹き口から吹いたり吸ったりして
 鳴らす。(ハ-モニカと類似)奈
 良時代に唐から伝来した楽器。

 
    →

 鉦鼓(しょうこ)画面の左側

 鉦鼓(しょうこ)は、雅楽で用い
 る金属製の打楽器です。
 太鼓や鞨鼓(かっこ)と同じよう
 に鼓の字が付いていますが、「つ
 づみ」ではなく、直径15cm程の
 金属製の円形の皿型の内側を二本
 の桴(ばち)で打つ楽器です。

  
    

 
  鞨鼓(かっこ)画面の右側

 鞨鼓(かっこ)は打楽器で、雅楽
 の唐楽と云うジャンルの演奏で用
 いられます。直径23cmの二枚の
 鼓面の間に内径が15cmの筒の銅
 を挟んで、牛の皮を紐状にした調
 緒(しらべお)と云う紐で締めて
 いる。この楽器を木製の台に乗せ
 て、長さ約40cmの先端がナツメ
 のような形の桴(ばち)を二本持
 って打ちます。打ち方には三種類
 の打法があります。



  
     

  太鼓(たいこ)画面の右側

 雅楽で用いられる太鼓は、特に楽
 太鼓とも呼ばれ、管絃演奏では、
 釣太鼓、舞楽演奏には大太鼓、船
 楽(ふながく)と云う船上で雅楽
 を演奏する時に使用する船楽用太
 鼓、また行進して演奏する道楽の
 場合に用いる荷太 鼓など、幾つ
 もの種類があります。釣り太鼓は
 胴の幅が12cm、直径54cmが標
 準とされ、主に管弦演奏で使用さ
 れます。






 


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