第5回 過行く我が夏の想い出
               
平成29年08月13日掲載
 
    
         
境内の杜にひとり佇みて暫し夏を思う


 
      日々、神官として神に仕える中、時には境内に立ち、杜に足を運び静かに立ち尽くすことが
     あります。鳥の囀り、セミの声、時には涼しく優しい風が、通り過ぎて行くのが、良くわかる
     のです。これが、心の癒しとなり、心静かに神に向かうことが叶うのです。

      そんな時、ふと木々で鳴くセミの声が耳に入ってきます。立ち竦んだまま、静かに目を閉じ
     ると、懐かしい子供の頃が思い出されます。とても懐かしく思うのです。次に自身の日記から
     その一編を恥ずかしながら、ご紹介しましょう。 以下、我が日記より。
 
      夏は朝からセミの合唱団が賑やかに活躍します。時には騒がしく煩く感じるのです。 7月に
     なると先ず、ニイニイセミが チチチ-、ニーニーニー、チチチと鳴き始めます。 尾張旭市内
     でも、都市化が進んだ為か、昔と比べて数が減ったようですが、ここ澁川神社では、沢山聴く
     ことが出来ます。樹木が多く湿り気のある土が豊富にあるからでしょう。全身泥だらけの抜け
     殻も他のセミと違って、とてもユニ-クです。 皆さんもご存知かも知れませんね。
 
      最近では、クマゼミの大音響が早朝から天まで届きそうに ジュジュ、シャーシャーシャ-
     シャシャシャと聞こえます。大きな体と透き通る翅(はね)は子供の頃の憧れの的でしたが
     高い所にいることが多く、捕らえにくいセミでした。昔より随分増えた様です。午後から夜中迄
     ジ-、ジージージー ジー、ギギギ-と鳴き続けているのが、アブラゼミです。 夜でも明るい
     現代では、真夜中でも休み知らずで、鳴き続け、人は煩く感じることでしょう。

      私達人間も昔は日の出と伴に起き、日の入りと伴に寝ることが、自然でしたが、現代では夜
     に働かなくてはいけない人が増え、その人達には自律神経の乱れや、がん病が増えていると言
     います。アブラゼミも昔に比べ、たたでさえ短い成虫期の命を更に締めているのかも知れませ
     ん。
 
      現代は人が本来持っている自然の摂理に反して生きなくてはいけない、生き辛い時代と言え
     ます。知らず知らずの内に溜まった疲れやストレスは神道で言う穢れの一つです。疲れた体と
     心を癒す為にも神社にお参りください。そして、少しでも長く境内に止まり、いっぱい、清々
     しい空気を吸い、虫や鳥の声、風の音に耳を傾け木や草の小さな花に気付いてみてください。
     五感を研ぎ澄すことで、自然の一員であることを自覚し、自然の儘に生きる力を取り戻せば、
     自然と心や体が癒され、元気が湧いて来る筈です。
      8月も中頃になれば、ジュジュ、ツクツクオ-シ、ツクリュ-シジ-と鳴く、ツクツクボウ
     シの登場です。暑い暑い夏も名残惜しくなってきます。


                               平成29年8月13日
                                 澁川神社 権禰宜 記


  


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