第3回 夏越の大祓と茅の輪くぐり

            

     伊勢地方を訪れると一年中、注連縄を飾り付けている家が幾つもあり、その注連縄には必ず
     蘇民将来子孫と言う紙が付いています。

     釈日本紀七に神代の昔、武塔
(ぶたふ)神(素戔鳴尊:すさのおうのみこと)が、南海の方へ
     お出掛けになる途中、土民の蘇民将来
(しょみんしょうらい)、巨旦将来(こたんしょうらい)
     云う兄弟に宿を求められた。
   
     弟の巨旦将来は裕福な身にも拘わらず、宿を拒んだのに対し、兄の蘇民将来は貧しいにも拘
     わらず、宿泊をした。その後、再び尊が蘇民将来の家を訪れ「若し天下に悪疫が流行した際
     には、ちがやを以って輪を作り、これを腰に着けていれば免れるであろう」と教えられた。
     後に悪病が流行すると、蘇民将来の家族だけが無事であったと云う。
     この古事に基づき、蘇民将来と書いて、これを門口に貼れば災厄は免れると云う信仰が生じ
     祓いの神事に「茅の輪」を作って、これをくぐり越えるようになったのが、「茅の輪」神事
     です。

     日々参拝に来られる八十歳を越した氏子さんのお話に依れば、幼少の頃にくぐった記憶があ
     るとか。その後、何時しか絶えてしまったとの事でした。
     悪疫から免れたいと誰もが願うことです。態々遠くの神社まで、出掛けなくとも是非、地元
     の氏神様で、叶えられないだろうかと、氏子の皆さんの願いもあり、弊社で、能々検討した
     結果、毎年6月30日頃に行う夏越の大祓(14時50分集合)に併せて、復活させたいと思いま
     す。長年続けられて来た行事、形代に罪・穢れを託して、川に流す神事は続けて参ります。
     多くの方々には、夏越の大祓をされて、上半期の穢れを祓い清め、更に12月迄の半年間を
     息災にお過ごし戴ければ幸いです。
                                           結び

    
 この夏越の祓いに関する古い歌が、拾遺和歌集にあります。ご紹介しましょう。
      ◆「水無月の なごしの祓い する人は 千年の命 のぶというなり」 
        水無月:6月、 なごし:夏越、 千年:千歳(ちとせ) のぶと:延と・・

     
 
                                     澁川神社 権禰宜

 



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