日本の神々、神社に鎮座する御祭神補記編 

神社一覧内に記載されている言葉の説明
「別表神社、官幣大社、式内社、二十二社、社格等について」

1.別表神社について      

昭和21年(1946年)2月2日の神社の国家管理の廃止に伴い、公的な社格の制度(近代社格制度)が廃止された為
それに代わるものとして、昭和23年(1948年)に定められました。
社格制度廃止後は、全ての神社は対等の立場であるとされた(但し、伊勢神宮を除く)。
しかし、旧の官国幣社や一部の規模の大きな神社については、神職の進退等に関して一般神社と同じ扱いをすると
不都合があることから、「役職員進退に関する規程」において特別な扱いをすることと定めている。
その対象となる神社が、同規程の別表に記載されていることから、「別表に掲げる神社」(別表神社)と呼ばれて
います。

下段リスト(別表神社一覧)に記載されている「別表神社」は人事の面で以下のような特別の扱いがされています。

  • 一定以上の基準に達すれば宮司の下に権宮司を置くことが認められる
  • 宮司・権宮司は明階以上の階位を有する者でなければ、任用されない(一般神社では権正階以上)
  • 禰宜は正階以上の階位を有する者でなければ、任用されない(一般神社では直階以上)
  • 権禰宜は権正階以上の階位を有する者でなければ、任用されない(一般神社では直階以上)
  • 宮司・権宮司の在任中の身分は特級、一級・二級上以外の者は二級とする
  • 宮司・権宮司の任免は各都道府県の神社庁長の委任事項としない(神社本庁統理の直接任免とする)

当初の別表神社は旧官国幣社のみであったが、昭和26年(1951年)に「別表に掲げる神社選定に関する件」と云う
通達が出され、官国幣社以外で新たに別表神社に加える神社の選定基準が示された。
それは以下の通りです。

  • 由緒
  • 社殿・境内地などの神社に関する施設の状況
  • 常勤の神職の数
  • 最近3年間の経済状況
  • 神社の活動状況
  • 氏子崇敬者の数および分布状況

この規定により、旧府県社・内務大臣指定護国神社を中心に別表神社の数は次第に増加し、平成18年(2006年)
現在で353社となっている。 逆に、右派政治団体日本会議や宗教圧力団体神道政治連盟と関連の深い神社本庁との
被包括関係を解消し、別表神社でなくなる神社も多く存在することになります。

別表神社は社格のような神社の格付けではなく、あくまでも神職の人事のみにかかわる単なる区別です。
しかし、別表に掲げられている神社は社殿、境内、神職の数などの面で比較的大きな規模の神社であり、一般には
一種の格付けとして捉えられているのも事実です。

尚、社格同様、伊勢神宮は別格として別表神社に入れられておらず、神宮大宮司は、「神宮規則」により、勅裁を
得て任免するとされ、さらに特別の扱いがなされている。

                            
2.官幣大社について 

官幣大社(かんぺいたいしゃ)は日本において官(朝廷、国)から、幣帛乃至幣帛料を支弁される神社。

  • 令制時代の官幣大社に就いては「延喜式神名帳:式内社の社格」参照
  • 近代(明治から(太平洋戦争)の終戦までにかけて)の官幣大社に就いては「近代社格制度:官社」参照
  • ここでの参照資料はありません。 

3.式内社(延喜式内)について 

延喜式神名帳(えんぎしき じんみょうちょう)とは、延長5年(927年)にまとめられた『延喜式』の巻九・十
のことで、当時「官社」に指定されていた全国の神社一覧です。

延喜式神名帳に記載された神社、および現代におけるその論社(注)を「延喜式の内に記載された神社」の意味
で延喜式内社、または単に式内社(しきないしゃ)、式社(しきしゃ)といい、一種の社格となっています。
本来「神名帳」とは、古代律令制における 神祇官が作成した官社の一覧表を指し、官社帳ともいいます。
国・郡別に神社が羅列され、官幣・国幣の別、大社・小社の別と座数、幣帛を受ける祭祀の別を明記するのみで
各式内社の祭神名や由緒などの記載はありません。
延喜式神名帳とは、延喜式の成立当時の神名帳を掲載したものです。
延喜式神名帳に記載された神社(式内社)は全国で2861社で、そこに鎮座する神の数は3132座になります。

式内社は、延喜式が成立した10世紀初頭には朝廷から官社として認識されていた神社で、その選定の背景には政治
色が強くみえる。当時すでに存在したが延喜式神名帳に記載がない神社を式外社(しきげしゃ)という。
式外社には、朝廷の勢力範囲外の神社や、独自の勢力を持った神社(熊野那智大社など)、また、神仏習合により
仏を祀る寺となった神社、僧侶が管理した神社(石清水八幡宮など)、正式な社殿がなかった神社などが含まれて
います。式外社だが 六国史に記載がある神社を特に国史現在社(国史見在社とも)と呼んでいます。
(広義には式内社も含む)

 ※ 論社について
式内社の後裔が現在のどの神社なのかを比定する研究は古くから行われています。現代において、延喜式に記載
された神社と同一もしくは、その後裔と推定される神社のことを論社(ろんしゃ)・比定社(ひていしゃ)等と
呼ばれています。 
式内社の後裔として、ほぼ確実視されている神社でも、確実な証拠はほとんど無く、伝承に
より後裔の可能性が、きわめて高い論社という扱いである。延喜式編纂時以降、社名や祭神・鎮座地などが変更
されたり、他の神社に合祀されたり、また、荒廃した後に復興されたりした場合、式内社の後裔と目される神社
が複数になる事もある。
論社には、他の研究によって、後裔社だとみなされることもあるが、その神社自ら式内
社だと主張することも多いのです。


4.式内社の社格編集について

式内社は各種の種別がある。まず官幣社と国幣社の別である。
官社とは、毎年2月の祈年祭に神祇官から幣帛を受ける神社のことで、各神社の祝部(はふりべ)が神祇官に集ま
り幣帛を受け取っていた。その後、延暦17年(798年)に、引き続き神祇官から幣帛を受ける官幣社と、国司から
幣帛を受ける国幣社とに分けられた。
式内社では、官幣社が573社737座、国幣社が2288社2395座あります。
国幣社が設けられたのは、遠方の神社では祝部の上京が困難なためと考えられるが、遠方でも重要な神社は官幣社
となっています。

次が大社と小社の別である。この別はその神社の重要度や社勢によったと考えられる。
官幣社・国幣社および大社・小社は全ての式内社について定められたので、式内社は以下の4つに分類されること
となります。

  • 官幣大社 -- 198社304座
  • 国幣大社 -- 155社188座
  • 官幣小社 -- 375社433座
  • 国幣小社 -- 2133社2207座

官幣大社は畿内に集中しているが、官幣小社は全て畿内に、国幣大社・国幣小社は全て畿外にある。
なお、近代社格制度にも同じ名称の社格があるが、式内社の社格とは意味が異なる。
また、近代社格制度の社格は延喜式における社格とは無関係で、制定時の重要度や社勢に応じて定められた。
式内社の中には、祈年祭以外の祭にも幣帛を受ける神社があり、社格とともに記された。

 ・名神 -- 特に霊験著しい「名神」を祀る、臨時祭の名神祭が行われる神社。全てが大社なので名神大社
      (名神大)という。
 ・月次 -- 月次祭(6月と12月の年2回行われる祭)に幣帛を受ける神社
 ・相嘗 -- 相嘗祭(新嘗祭に先立ち新穀を供える祭)が行われる神社
 ・新嘗 -- 新嘗祭(毎年11月に行われる一年の収穫を祝う祭)に幣帛を受ける神社



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